ちなみにスウェーデンでは、現行法ではなんと美容師になるための教育を受けていなくても誰でも美容院を開業できるんだそうです。そんなテキトーな。そんな現状に危機感を持つ業界団体が自主的に発行するライセンスFrisörlicensはありますが、美容師国家資格というものは存在しないとのこと(参考:業界団体Frisörernas yrkesförbundのウェブサイト)。国家資格が存在しないなんて、そりゃ美容師さんによってスキルの差が激しくなりますよね…。
さて、そんな状況に恐れをなしたチキンな私が産後のボサボサの髪に困り果てて初めてスウェーデンの美容院に行ったのは、滞在2年が経ったころ。知人(アジア系男性)のずっと通っている地元の美容師さんを紹介してもらいました。
このお店には2回行きましたが、アジア系女性のお客さんはそんなにいないようで美容師さん終始若干緊張気味で、私の持って行った写真を何度も確認しながら慎重に切ってくれました。2回ともショートカットにしましたが仕上がりはまあまあ良かったです。うろ覚えだけど、シャンプーをしてから濡れた髪のままだいたいの長さのカット、その後髪を乾かしてすきばさみで量を豪快に減らし長さ微調整、という手順だったと思います。価格はこれまたはっきり覚えていないけどシャンプー・ブロー・簡単なセット込みで500krくらいだったかな?
ただその美容師さんは遠方で開業していて頻繁に行けないため、もっと近所がいいなと思って家の近くのお店をリサーチ。参考にしたのはFacebookやGoogleの口コミ、美容院の業界団体のページにある検索サービスFrisörsökです。Frisörsökでは業界団体に加盟している美容院だけを検索できるので、経営的にも技術的にも一定の水準を満たすお店を見つけられます。もちろんこれに加盟していない店にも技術の高い美容師さんは存在するのでしょうが、一つの判断基準として使えます。それから、あまりに安い店は技術面も不安だし税金面もちゃんとしてるかわからないので避けました。
そうやって調べてから電話予約して行った近所の美容師さん。とても感じがよく、こちらの希望をしっかり聞いて丁寧にカットしてくれました。こちらも、シャンプー(若干雑。でもカットが良ければ細かいことは気にしない)をして通常のはさみでカットして長さを決めたあと、乾かしてからレザーとすきばさみでがっつり量を減らしていくという方式。切ってくれた美容師さん自身がショートだったのも良かったのか、イメージに近くていい感じの仕上がり。半年美容院に行けず伸び放題だった髪の毛が、かなりコンパクトなショートになりました。ただ私の毛にボリュームがありすぎてすくのに時間がかかり次の人を待たせてしまったため、次からは長めの時間の予約を入れてほしいと言われましたが(笑)シャンプー・ブロー・簡単なセット込みで460kr。これからも通ってもいいなと思っています。
海外の美容師について語られるときに比較的よく耳にする話に「すきバサミなしでまっすぐ切るので市松人形と化す」「ショートカットは失敗率高いから避けるべき」などというのがありますが、少なくとも私の経験では全然そんなことなかったですね。あまりに失敗談を聞きすぎて期待値が低かったせいなのか私が細かいことを気にしない性格のせいなのかはわかりませんが、むしろ今のところは満足してます。どちらの美容師さんもアジア系の方ではなかったので髪がやたら多くて太いことはつっこまれたけど(日本人の中でも多くて太い方です)、当然のようにすきばさみで対応してくれましたし、段も入れてくれました。パーマやカラーはしてないのでわかりません。
もちろんスキルの高い日本人の美容師さんが身近にいるならそこに通うのが一番かもしれませんが、個人的な経験からは、店選び【誰かからの紹介orネットでよく下調べ】と美容師さんとのコミュニケーション【写真を駆使し、前後の長さとか量を減らしたいとかできるだけ具体的に伝える】を丁寧にすれば日本人とかアジア系の美容師さんにこだわらなくても意外となんとかなるんじゃないのと思ったりしてます。スウェーデンは移民の多い国だから、美容師さんもいろんなエスニシティの人の髪を切った経験がある可能性が高いし、言葉が少しくらい怪しくてもちゃんと話を聞いてくれる率が高い気がします。
ということで、私のカット計3回のみの少ない経験からは「スウェーデンの美容院、悪くないんじゃ?」というのが今のところの感想です。この先この感想が変わらないことを願ってます…。