少し調べてみると、赤ちゃんを屋外のベビーカーの中で寝かせる習慣は北欧諸国(探した限りではスウェーデン、ノルウェー、フィンランド、デンマーク、アイスランドあたり)では割と一般的なようなのですが、それ以外の地域ではやっぱり珍しいらしく、過去に英BBCでも驚きをもって報じられています(参考:The babies who nap in sub-zero temperatures)。アメリカでは、自分の子どもをレストランの外に放置したとして、1997年にはデンマーク人旅行者が逮捕されたり(参考:Danish Mother Is Reunited With Her Baby)、2011年にはスウェーデン人の母親が警察の取り調べを受けたり(参考:Swedish woman who left baby outside restaurant investigated)したことがあるそうです。
私も当時は「こんな寒い中赤ちゃんを外に置いておくなんて信じられん!」と思ってたのですが、実際に自分がこっちでベビーカーを使うようになって理解しました。スウェーデンのベビーカー防寒の本気度は半端ない(そりゃ寒いんだから当たり前だけど)。特に新生児〜生後6ヶ月くらいまでの、赤ちゃんを寝かせるliggdelのときが気合入ってます。背中の部分になにやらふわふわの毛皮を敷く、åkpåseというモコモコの寝袋に赤ちゃんをすっぽり入れる、風除けをつけて外気をできるだけシャットアウトする、などなど。ベビーカーの中に温度計をつけて中の温度をチェックしている人も。確かにここまですれば、まるで移動ベッド。いくら外が寒くてもベビーカーの中は暖かくて快適だろうなーと納得。この真冬に、ベビーカーを押しながら森や湖畔で長い散歩をしている人も見かけます(私達もしてます)。
とはいえ留学生時の目撃談やリンク先の記事の出来事は少し前のこと。地域差なのか時代の流れなのかたまたまなのか、私の今の生活圏ではカフェやレストランの外に赤ちゃん入りのベビーカーが置かれた光景はまだ見たことがありません。ただ、屋外で赤ちゃんを昼寝させることについては、öppna förskolanのフィーカで話題として出たことがあります。そのときは「もし散歩中に赤ちゃんが眠ってしまったら、家に帰ってきても起きるまでベランダや庭にベビーカーを置いて寝かせている」という経験談をある母親が語り、周囲のスウェーデン人の親たちや保育士も「それは一般的」「起きたら泣くし問題ない」「新鮮な空気が吸えるから良い」と反応していました。もちろん、上に書いたような防寒対策をしっかりした上で親がちょこちょこ様子を見ていることが前提です。リンク先のbbcの記事にもあるように、新鮮な空気(frisk luft)を吸わせることが赤ちゃんの健康に良いという考え方が根底にあります。それに、屋内に入れてごそごそ服を脱がせたりすると、せっかく眠った赤ちゃんが起きてしまいますしね。
確かに、子どもがなるべく快適に過ごせるようベビーカーの防寒をしっかり工夫しておくと、実際に気温0度前後の散歩中でも気持ちよさそうに眠りに落ちています。屋内に入るとかえって暑がって起きたりします。でもやっぱりカフェの外などに置いたままにするのには個人的には抵抗があります。家のベランダだったら試してみてもいいかな…というくらいです。
【2019.12追記】
「スウェーデンの保育園では昼寝を外でするのが普通」みたいな趣旨の話を時々見かけますが、それは少し疑問です。中にはそういう保育園もあるのかもしれませんが、少なくとも私の子供が通う保育園では外遊びはたくさんしてますが昼寝はいつも屋内です。