一番いいのは渡航前から準備をすること。でも日本でスウェーデン語学習を進めるのは簡単ではありません。手に入るテキストブックや辞書の選択肢が少なすぎるし、地方だと本格的な教室や学習仲間も見つけにくいです。
そんなときに強い味方になるのが、オンラインの学習リソースです。この記事では、私が日本やスウェーデンでこれまでに学習に使ってきたウェブページをまとめてみました。
なお次項以降に主に紹介しているのは、スウェーデン語の基礎をある程度学んだ人向けのサイトです。全くの入門者向けには、例えば以下のようなオンライン学習サイトがあるようです。検索して見つけただけで私は試したことがないので効果のほどはわかりません。
- Learn Swedish for free(無料プランあり)
- Learning Swedish
Svenska institutet(SI)といくつかの大学による、ビギナー向けスウェーデン語オンライン学習コース。英語。無料。2022.10現在停止中の模様。
リスニング
ラジオやテレビは格好のリスニング教材。アナウンサーの真似をして繰り返しスクリプトを読み上げることで、発音・アクセントの練習にもなります。特にニュースはいろいろな分野を扱うので実用的な語彙力も養われます。
上2つは、簡単な単語を使ってゆっくりニュースを読んでくれるので、リスニング学習の入り口として良いです。日本では毎日通勤中にKlartextを聞いていました。Svtのテレビ番組はSvtplay.seというサイトで見ることができますが、日本からは視聴できない番組もあるようです。
- Klartext(ラジオ、初級)
公共放送スウェーデンラジオ(SR)の番組。以前は10分の番組だったと思うのですが、5分に短縮されてしまいました。音声でしゃべっていることとテキストの内容がちょっと違うのがネックです。次に紹介するRadio Sweden på lätt svenskaが移民を主なリスナーに想定する一方、こちらは認知機能にハンディを抱える人々を主に想定しているとのことです(参考:FAQページ)。 - Radio Sweden på lätt svenska(ラジオ、初級)
こちらもSRの番組。2016年スタート。スウェーデン語を学ぶ移民向けに特化しているとのこと。ちょっと聞いてみた限りでは、Klartextよりちょっと語彙が多く、出来事の背景をより丁寧に説明しているように思われます。こちらは、各ニュースのページにスクリプト(音声と同内容のテキスト)があるようです。 - Ekot(ラジオ、中級〜)
こちらもSR。通常の速さ&語彙でひたすらニュース。うちでは目覚まし代わりに朝のeko流してますが、いつも夢の中でニュースを聞いてしまってなかなか起きられません。 - Rapport(テレビ、中級〜)
公共放送スウェーデンテレビ(SVT)の夜の全国ニュース番組。録画版は字幕付きで見ることもできます(タイトルにtextatと書いてある映像)。日本からでも視聴可能。
なお、Rapportに続く5分間の地方ニュースはLokala Nyheter ○○(○○はStockholmやSkåneなど地域名)という名前になっており、方言丸出しのアナウンサーやレポーターもいたりしていろいろな地域を見比べるのが面白いです。 - Aktuellt(テレビ、中級〜)
上のRapportと同じくSVTの夜のニュース番組なのですが、比較的淡々とした進行のRapportと異なり、専門家をスタジオに呼んで議論するなど、特定のトピックを掘り下げるスタイルとなっています。日本からでも視聴可能。 - Vem vet mest?(テレビ、中級〜)
SVTで毎週土曜日にやってる30分の雑学クイズ番組。以前は平日夜にやってたのですが、縮小されて司会者もスコーネ方言の人に代わりました。進行のテンポが良いですが、問題は字幕でも出るので意外ととっつきやすいと思います。スウェーデン国内のみで視聴可能。
リーディング
独学で集中して強化しやすいのがリーディング。私は読書が嫌いなので小説や作家は詳しくないのですが、ニュース記事を読むのは好きなのでもっぱらオンラインや紙面で新聞を読んでいます。よく見る新聞のサイトはDN.とSvDです。無料でも多くのニュースを読むことができますが、有料購読を申し込むとPDFで紙面を読むこともできるようになります。
また、あまり使ったことないのですが、8 sidorというページでは平易なスウェーデン語でニュースが読めます。リスニングの項目で紹介したKlartextやRadio Sweden på lätt svenskaのテキスト・スクリプトもリーディングの練習に使えそう。DNやSvDなどの記事がちょっと難しすぎると感じたら、これらを使ってみてもいいかもしれません。
あとこれはページの紹介ではありませんが、スウェーデンの情報を集めるとき日本語や英語ではなくなるべくスウェーデン語で調べてみるよう心がけることも地味に大切だと思います。たとえば料理のレシピなんかは単語数も少ないし表現も決まったものが多いのでとっつきやすいかも?スウェーデン語の単語がわからなくても、下に紹介するオンライン辞書を駆使して単語を調べることもできますし、例えばWikipediaの個別ページで言語を日本語→英語→スウェーデン語と切り替えるだけでも得られる情報量が増えたりします(すべての情報が正確かどうかは置いといて)。何より、自力で言語を解読するプロセス自体が勉強になります。日本語でブログを書いているのにこんなことを言うのもあれなんですが、日本語で書かれたスウェーデン情報っていい加減なものも割とあったりするので。
文法・発音
文法や発音に関しては、以下のサイトで学習できます。
- Svensk grammatik och ordbildning
文法や語彙力のトレーニングができるサイト。英語表示も可能。例文は音声付き。
ライティング
- Frasbanken
ちょっとアカデミックな文例ですが、レポートや論文で使えそうな表現が用途別にまとめられています。
オンライン辞書
また、スウェーデン語学習で助かるのは、オンライン辞書がいろいろあることです。日本語⇔スウェーデン語は多分ないと思うのですが、英語⇔スウェーデン語は充実しており重宝します。
- Folkets lexikon(スウェーデン語⇔英語・スウェーデン語)
スウェーデン語の勉強を再開して最初に使い始めたのがこれだったのもあり、なんだかんだで一番使っています。動詞や名詞の変化がきっちり書いてあるのと、発音が聞けるのが便利。英訳だけでなく、スウェーデン語で定義や類語が出てくるのもいいです。留学生時代によく使っていたLexinの後継版のようです。 - Wiktionary(スウェーデン語→スウェーデン語)
これも結構使ってます。上のFolkets lexikonで単語がヒットしないときや、調べてもいまいち単語の意味がピンとこないときに使うことが多いです。例文があってわかりやすいです。 - svenska.se (スウェーデン語→スウェーデン語)
Svenska Akademienが発行する3種類の辞書Svensk ordbok utgiven av Svenska Akademien (SO)、Svenska Akademiens ordlista (SAOL)、Svenska Akademiens Ordbok (SAOB)をまとめて検索できるサイト。SOは現代スウェーデン語の意味や用法に重点化した辞書、SAOLは主に現代スウェーデン語の綴りと語形変化をまとめた辞書、SAOBは16世紀前半から現代に至るまでの書き言葉の用例を集めた情報量膨大な辞書。SOとSAOLは無料スマホアプリもあり、学習用途に向いていると思います。SAOBはオンライン版ではAからÅまでしか検索できません(2023年10月現在)が、ÄとÖを含む最終巻が印刷に回され140年越しで全巻が完成した(Dagens Nyheter 2023-10-24)というニュースがあったので、近くオンライン版も完成するのではないかと思います。
Google翻訳やDeepLなどの機械翻訳は、長いお役所文章などを素早くなんとなーく理解するのに使うことがありますが、あまり厳密ではないので、あやしい部分は必ず原文と見比べながら読んでいます。単語は上のようなオンライン辞書の方が詳しいですし、語学学習用途や専門的なことを理解する用途で機械翻訳を使ったことは私はないです。
その他
- Våra svenska dialekter - SweDia 2000
各地の方言が聴き比べられるサイト。しかも地域ごとに若い男性・女性、年配の男性・女性の4種類の音声が用意されているという充実ぶり。方言好きなので、聞いているだけで楽しいです。 - Matteboken
スウェーデンの小中高の数学をオンラインで学べるサイト。数学用語の勉強になります。 - Språket
スウェーデン語をテーマにしたSRのラジオ番組。文法に関することやイディオム表現・単語に関することなど毎週のテーマに沿った質問を視聴者から募集し、それに大学教員の専門家が答える形式で番組が進行していきます。少し上級者向けかもしれませんが、他言語との比較も時々出てきたりして面白いです。 - Språktidningen
こちらも上のSpråket同様にスウェーデン語をテーマにしている雑誌で、オンラインでも記事が読めます。新しい単語・表現、時代とともに変化してきた言葉、方言など、スウェーデン語に関するさまざまなニュースを取り上げています。ポッドキャストもあります。
以上思いつくところをざっとまとめてみました。今後も役立ちそうなページを見つけたら随時リストを更新するかもしれません。