Mest växtgift i EM-ölen(Testfaktaのテスト結果ページ。銘柄別の含有量一覧があります。本ブログで紹介したOppigårds Amarilloも)
Ogräsmedel i öl(Göteborg Postenの記事)
見出しや数字だけ見ると、「え、スウェーデンのビール大丈夫なの?」と思ってしまうのですが、中身をよく読むと、普通に1日1〜2杯飲むレベルなら、別にそんなに心配しなくてもいいんではないかという印象です。
まず、Testfaktaのページの下の方のFaktaを見ると、そもそもこの除草剤の発がん性についてはまだよく分かっていない&EU食品庁は発がん性の疑い自体に懐疑的であることが分かります。また、記事中のスウェーデン食品庁の専門家のコメントも「除草剤に発がん性があったとしても、1日に500リットル飲まないと健康リスクはないだろう」というもの。1日に500リットルなんて飲めるはずないし、万が一飲めたとしても、発がんする前にお腹が破裂してしまいますね(笑)つまり現実的にはほぼ発がんリスクはないと考えている、ということなんでしょう。
除草剤グリフォサートは、EUでの使用が認められている農薬です(EU Pesticides databaseで調べることができます)。EUでは、使用できる農薬をリスト化してそれぞれに品目ごとの上限値を定める、という制度をとっており、定期的にリストの見直しを行っています。グリフォサートについては2002年から使用が認められていますが、この使用認可の期限が今月(2016年6月)いっぱいとなっているため、現在、認可を更新するかどうかの調査・検討を行っているようです。それに関連した欧州委員会のプレスリリース(2016年6月1日付)によれば、今までに欧州食品安全庁(EFSA)とドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR:Bundesinstitut fur Risikobewertung)がそれぞれ調査を行ったものの、いずれの調査でも「グリフォサートに発がん性があるとは思えない」という結論に達したとのことです。
少し調べてみると、数ヶ月前にドイツのビールでも同じような話があったようです。この際の欧州議会での質問に対する欧州委員会の回答は、ドイツビールのサンプルから検出された濃度は、製造過程での変化も考慮に入れれば、EUの定めた含有量上限値をはるかに下回っている、という趣旨のものでした。なお、リンク先の回答にもありますが、EUの規則では、ビールそのもののグリフォサート含有量の上限値規定はありませんが、原材料の大麦での上限値は20mg/kg、ホップでの上限値は0.1mg/kgと定められています。
今回のスウェーデンビールの記事でも、比較対象として「ビールの値が高い!」と印象づけやすい飲料水の上限値だけを挙げていますが、ビールは単なる水ではないので(水同然だぜ!という強者もいるかもしれませんが…)、上記のような原材料の上限値もきちんと考慮しないと、科学的な議論にはならないかと。
食品に関する「○○が体にいい/危ない」系の話は、世間の関心も高いので定期的に話題になります。でもこういう話って、中には本当に気をつけた方がいいものもあるけど、たいていは科学的根拠が薄いか、単なる程度問題なことが多い気がします。見出しやレトリックに惑わされず、信頼できる情報をあたって判断したいものです。
めずらしく真面目なビール記事でした。
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